Fresh Hop Fest. 2018

ひろげよう!ホップの輪

今年収穫した国産ホップでつくったビールを楽しむお祭り

  • 9.1(Sat.)
  • 10.28(Sun.)

大阪のド真ん中で、ホップでつなぐみどりのコミュニティ「ウメキタホッププロ ジェクト」

コウゴアヤコ

ビアジャーナリスト/ライター コウゴアヤコ

「うめきた」は、大阪駅北側にある「JR 貨物梅田駅の跡地」を中心とする、24 ヘクタール(東京ドーム5個分ほど)の広大な開発エリアだ。
最初に開発された東側エリアは「グランフロント大阪」として、高層ビルが並び、商業施設 や高級マンション、ホテルとして開業している。

その西側、「うめきた2期開発エリア」で 2017 年からホップの栽培が始まった。
みどりをテーマに、ホップを育て、人の輪も育てようという「ウメキタホッププロジェクト」だ。

大阪のド真ん中、うめきたでホップを育てよう

風に吹かれてそよそよ揺れるホップの葉っぱの後ろには、ピカピカ輝く高層ビルが見える。
ホップ圃場に集う理由は、人それぞれだ。
ガーデニングに興味のある人、ビールが好きな人、木陰で涼む人、ハーブとしての効能に興味がある人など様々。
ホップを育てることで人が集まり、ホップ=ビールだけでなく今年も様々なコミュニティが生まれている。

グリーンのカーテンが伸びつつある(2018 年 5 月 24 日)

このコミュニティづくりをしているのは、うめきた2期区域暫定利用事業者で、都会の中の「場」づくり、インターコミュニティ事業を行っている「一般社団法人 うめらく」だ。
当団体のクラブ活動の一つ「アーバンファーマーズ倶楽部」から、ホップでつながるコミュニティ「ウメキタホッププロジェクト」が生まれた。

うめきたで初のホップ栽培を開始したのは、昨年の 2017 年 5月。
日本原産のホップ「かいこがね」を育て、収穫したフレッシュホップを大阪市中央区にある 「ブリューパブ テタールヴァレBrewpub Têtard Vallée」に運び、初のクラフトビールを造った。

「1年目のホッププロジェクトは、都会のど真ん中でホップが育つかの社会実験を行い、『ホップでつくる仲間づくり』をテーマに、普段出会わない方々とホップを通しての文化交流を行いました」と 、ウメキタホッププロジェクト代表の山田摩利子さんは話す。

毎日ビールを欠かしたことがないと言う山田さんは、3児の母。
食農を通しての健康をテーマに、食育活動、講座、セミナーの講師をしている。
生産者と消費者をつなげたいという気持ちは、ビールにおいても同様だ。

2018 年の今年は、仲間づくりだけでなく、社会的な意義や志も共有したい考えだ。
京都与謝野ホップから、カスケード、コロンバス、ナゲットの3種類の株分けをしてもらい、関西における「都会と農村のコミュニティ」で新しい産業や文化づくりに挑戦する。
また、ホッププロジェクト会費の一部は、大阪府住宅まちづくり部 都市空間創造室が行う「みどりの基金(うめきた2期)」に寄付し、 大阪のみどりをみんなで応援する仕組みづくりも行う。

株を譲渡してもらった京都・与謝野町は新たなホップの産地としてクラフトビール好きから注目されている

ウメキタホップクルー会員と共にホップを栽培

今年、ウメキタプロジェクトでは、自然エネルギーを活用した地域の憩いの場である「みんなのこかげ防災パーゴラ」や、花と緑と学びの庭園「UMEDAI ガーデン」の、うめきたエリア2か所を中心に、関西一円のホップクルーの庭やベランダでホップ栽培を開始した。

今年新たに設けたウメキタホップクルー会員制度は大きくわけて2種類ある。
クラフトビール造りに興味がある人(クルー会員)と、ホップ栽培にも興味がある人(ホップ会員)の2種類だ。

さらにホップ会員には、ホップの株に出資し、オーナーとしてうめきたの用地で育てる「シェアホップオーナー」と、“小さなホップ農家”としてホップの株を自宅で世話をすることもできる「ホームホップオーナー」がある。

クルー会員同士SNS上で生育状況を報告しあったり、アドバイスをしあったりすることで交流が生まれる

各ホップオーナーのホップ毬花は買い取り制度も設けていて、テタールヴァレの2店舗目、「ブリューパブセンターポイント Brewpub Center Point」(大阪市北区)に持ち込むと、 100gあたりビール1杯(400円相当)と交換することも可というユニークなシステムだ。

この制度によりビールからホップに興味を持つ人や、ガーデニングやみどり活動からホップに興味を持つ人など、いろいろな入り口からホップのポテンシャルを高めていこうという考えだ。

ホップをつくるとコミュニティが生まれる

「今年はビールの原材料となるホップをキーワードに『輪』を広げていっています。
これからは、都会の中で希薄になって社会問題にもなっているコミュニティづくりも、商品価値を高めるブランドづくりも、生産のところから消費者にもっと知る機会をつくり、みんなを巻き込んで Biophilia(=バイオフィリア、自然共生デザイン)の概念を導入した環境づくりが必要だと思っています」
と、山田さんは力をこめる。

山田さんの狙い通り、都会のド真ん中、大阪うめきたのホップ圃場から、消費者を巻き込んだ様々なコミュニティが誕生している。

ニューヨークのセントラルパークのように、都会のど真ん中にみどり
がある魅力的な都市を目指す(2017年の様子)

「ホップでつながる関西の仲間作りから、都会と農村が一つになることで起こる“みどりのイノベーション”で様々な新規事業を生み出し関西経済を盛り上げていきたい」
と山田さん。

また、社会の中で起きている食やくらしの変化について、ホップを通して未来の「食農」、「健康」、「手仕事(クラフト)」、「環境保全」について考えるような活動にまでプロジェクトを発展させたいという夢を抱いている。

今年は、京都与謝野町のホップ収穫体験参加や、ビールイベントトリップ(小旅行)、年 3回(8月、9月、10 月)「ブリューパブセンターポイント」でのクラフトビールづくり勉強会&交流会、「うめきたホップヌーヴォビール完成披露パーティー」などが企画されている。

ブリューパブセンターポイントでのキックオフパーティー。仕事とは無関係の友達ができるのも嬉しい作用だ( 2018年6月2日)

2018年6月18日に発生した大阪北部を震源とした震度6弱の地震では、ホップの栽培地の一つである「みんなのこかげ防災パーゴラ」が、帰宅困難者のUSB充電基地、自動販売機の飲料無償提供所、休憩スペースなどとして機能した。
都心にあり、通常は地域みんなの憩いの場として、災害時には防災拠点として活用されることにも着目したい。

充電に訪れた女性を取材するテレビクルー。次の災害時の減災のためにも「みんなのこかげ防災パーゴラ」の存在を知っておきたい

大きな揺れにも耐えたホップは、力強く育っている。
6月頭にはホップの花が咲き、順次収穫が始まっている。

ホップ会員のベランダで育てられている「コロンバス」(2018年6月10日)

畑から、収穫、製造、消費まで体験できるこのプロジェクトは、都会に暮らす人たちにどのような影響を与えるのだろうか?
そして農家と都会を結び、関西を発展させることはできるのだろうか?

うめきたの広大な夢はまだ始まったばかりだ。

*写真はすべてウメキタホッププロジェクトから提供いただきました

ウメキタホッププロジェクト(connected by 一般社団法人うめらく)
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コウゴアヤコ

ビアジャーナリスト/ライター コウゴアヤコ

1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。
ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして雑誌『ビール王国』、海外生活情報誌『ドイツニュースダイジェスト』など様々なメディアで執筆。『ビールの図鑑』『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、『極上のビールが飲める120店』(エンターブレイン)など。

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